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本のレビュー「実戦 BtoB マーケティング」

実戦 B to B マーケティング

BtoBに特化したマーケティング戦略の解説書というのは、あまり多くないため、本書を見つけた際、すぐに手に取ることになりました。一方で、僕は、著者の佐藤氏の「実戦マーケティング戦略」も以前に読んでいたため、著書の内容は比較的簡単に理解できました。佐藤氏は、多くのコンサルティング/マーケティングの本を出版されているので、ご存知の方も多いかと思います。売上UPの為に、実戦的で効果の高いマーケティングをご検討の方は、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

事例でわかる!実戦BtoBマーケティング お客様に頼られる存在になるための戦略実行
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目次

概要

ジャンル :マーケティング
著書   :実戦BtoBマーケティング
著者   :佐藤 義典
発行日  :2011年12月30日 初版第1刷発行 2014年2月20日 第6刷発行
発行所  :三松堂 株式会社
おすすめ度:★★★☆☆

著者略歴

佐藤義典(さとうよしのり)

マーケティングコンサルティング会社、ストラテジー&タクティクス社代表取締役社長。米国ペンシルベニア大ウォートン校MBA(2008 FT紙ランキング世界1位、経営戦略、マーケティング専攻)。中小企業診断士。NTT、外資系メーカーのブランド責任者、外資系エージェンシーの営業ヘッド、コンサルティングヘッドを歴任。
実戦的で効果の高いコンサルティングには定評がある。豊富な現場経験と理論体系に基づく企業研修(経営戦略、マーケティング、企画力など)はわかりやすく実戦的と好評でリピー ト率が極めて高い。2万6千人が購読する人気マーケティングメルマガ「売れたま!」 (www.sandt.co.jp/uretama.htm) の発行者としても活躍中。

●著書
「図解実戦マーケティング戦略」
「マーケティング戦略実行チェック99」
「実戦マーケティング思考」
(以上、日本能率協会マネジメントセンター)
「白いネコは何をくれた?」(フォレスト出版)
「売れる数字」(朝日新聞出版)
「経営戦略立案シナリオ」 (かんき出版)
「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」(青春出版社) などがある。

本書の要点

  1. 「お客様に選んでいただく」ための5つの要素:戦略BASiCS
    マーケティングは「確率論」であり、大小の改善の積み重ねが、お客様に選んでいただく確率を高める。その確率を高めるためには、戦略BASiCS(戦場・競合/独自資源/強み/顧客/メッセージ)の5要素を一貫性・具体性で考え抜くことです。
  2. お客様の嬉しさを考える
    ウチを使えば御社が儲かるを提案しよう
    どうやって設けるのか。QCDに訴求して訴える必要があります。
  3. お客様に選ばれる存在になろう
    顧客が発注先を選ぶ3つのパターンを理解しましょう。
    手軽軸/商品軸/密着軸

これらの軸に沿って「強み」と「独自資源」の一貫性を取ることによって「お客様に選ばれる」会社になることができまず。

要約

「お客様に選んでいただく」ための5つの要素:戦略BASiCS

  • Battlefield:戦場・競合
    お客様が選ぶにあたっての自社との比較対象であり他の選択肢である。
  • Asset:独自資源
    強みを競合がマネできない理由。
  • Strength:強み
    お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由
  • Customer:顧客
    戦略を決める中核となる存在。
  • Selling Message:メッセージ
    戦略は、きちんと実行されてはじめて成果をあげる。メッセージは戦略を社内外に伝える役割を果たす。

マーケティングは「確率論」であり、大小の改善の積み重ねが、お客様に選んでいただく確率を高める。その確率を高めるためには、戦略BASiCSの5要素を一貫性・具体性で考え抜くことです。

お客様の嬉しさを考えよう

ウチを使えば御社が儲かるを提案しよう

  • STEP1 モノではなく使い方を提案する
  • STEP2 お客様の品質・コスト・納期(QCD)の改善に貢献しよう
  • STEP3 PL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、CF(キャッシュフロー)の貢献ポイントを具体化しよう

ポイント:提案の順番も大事
顧客の嬉しさを伝えるためには、以下の順番で提案しよう

  1. アナタはこう儲かります
  2. それはアナタのQCDがこうなるからです。
  3. うちのこの商品・サービスを使うことで実現できます。

お客様を知ろう(セグメンテーションとターゲティング)

セグメンテーションとは「顧客ベネフィットを括ってグループ化すること」
ターゲティングとは「グループに優先順位を付け、どこかのグループに優先的に狙いを付けること」
その中で、顧客のベネフィット、部署のベネフィット、そして個人のベネフィットがあります。選定権のあるお客様を出世させてあげることができれば、顧客から選ばれ信頼され続けることができます。
その為には、直接のお客様の「社内顧客」を知る必要があります。名詞を集め、顧客企業の組織図を作りましょう。それを体系化したうえで、「意思決定上の役割」を明確にすることが重要です。出来上がった人物相関図の上へ上へとエスカレーションすることがポイントとなります。上へ行くほど選定権が大きくなるからです。

顧客企業との取引分析

顧客ニーズを知る手っ取り早い方法は、既存顧客のニーズを知ることです。顧客企業とは、請求書/注文書が大変貴重な情報源になります。分析をもとに以下の行動を実践していきましょう

顧客の実態把握
水漏れ分析:顧客の流出がわかる
キラー商品を探す
クロスセリングをする

お客様のお客様を知ろう

顧客視点を持つとは、お客様のお客様を見ることです。お客様のマーケティングを手伝うことは、自社の最強のマーケティングであり、営業となり、お客様に自社を選んでいただける大きなポイントとなります。

戦場・競合を把握しよう

戦場・競合はお客様にとって選択肢の集合です。
そこで大事になるのが、自分は「何屋」かということです。例えば印刷会社であれば、「印刷物を使って稼ぐお手伝いをする」ことは当然のことですが、その中でも、

  • 費用削減を主に、郵送費削減のお手伝い屋さんなのか?
  • 非常に品質の高い印刷物を武器に、DMの反応率向上を実現するお手伝い屋さんなのか?

ということを理解する必要があります。自分が何屋かを把握することで、顧客のベネフィットに貢献することができるようになります。
自分が「何屋」かを把握したうえで、、顧客企業における競合の利用状況を知りましょう。主戦場は、競合の利用が多く、売上増加の余地の大きいセグメントになり、自社の持つ強みと顧客が求めるベネフィットが合う顧客となるでしょう。

お客様に選ばれる理由を知ろう

重要なのは「顧客」「競合」「強み」の一貫性です。顧客がどんなものを求めているかは、顧客ごとに異なります。その顧客にとってのベネフィットが、コストなのか、品質なのか、デリバリーなのか、それとも便利さなのかを理解することが重要になります。
顧客が発注先を選ぶ3つのパターンを理解しましょう。

  1. 手軽軸:競合より、 早い、 安い、 便利
  2. 商品軸:競合より、 よりうまくできる(高品質・新技術)
  3. 密着軸:競合より、 個別具体的要望によりよく応えられる

これらの軸に沿って「強み」と「独自資源」の一貫性を取ることによって「お客様に選ばれる」会社になることができまず。

強みをお客様に伝えよう

メッセージで伝えるべきことは「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」である「強み」。強みを伝えて売れなければ、 戦略自体が間違っている可能性がある。メッセージは戦略が機能するかどうかのチェックポイントとなる。
メッセージは最終的には「(競合)ではなく(自社)のほうがいい。 だって(強み)だから」という「お客様の褒め言葉」となる。競合にも使えるようなメッセージでは競合と差別化されていないし、お客様がそれを聞いて自社を選ばないのであれば「刺さらない」。
メッセージは、社内にも浸透・徹底する必要がある。それによって「売り物」「売り方」という社内の行動を統括し、戦略を現実化する役割を負う。

「選ばれる」存在から「頼られる」存在になろう

お客様に「頼られる」存在になるためには、 自社自分が「顧客企業の戦略BASICSにおける独自資源」になることがポイント。自社,自分が顧客企業の「独自資源」になるような「売り物」「売り方」を考えよう。
BtoB マーケティングもBtoCマーケティングも実は本質は変わらない。BtoCマーケティングを知ることにより、戦略BASICSの構築力が高まり、BtoBtoCにおける提案力も高まる。
顧客企業の戦略BASICSを考えるためには、順客企業のことをよく知ろう。順客企業のお客様についても、顧客企業に負けないような知識を持とう。顧客企業の戦略BASICSが描描け、お客様と緒に考えられるようになれれば「頼られる存在」になれる。

本書は、マーケティングを体系的にまとめた一冊として、非常に価値のある内容かと思います。同じ著者の「図解実戦マーケティング戦略」とも、近い内容が記載されておりますので、まずはどちらか一冊お手に取っていただき、深堀を考える方は、両方読んでみることをおすすめします。

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