本書では、データ活用の多くの事例が紹介されており、非常に興味深い。特にお金に変えるデータの使い方、イノベーションを実現するデータの使い方などが紹介されている。そこで共通するのは、データのオープン化である。データをオープンしてしまえば価値がなくなると思えるが、データをどう活用するかが勝負となってくる。本書はそれを理解する一助となると思います。
概要
ジャンル :IT
著書 :データ×アイデアで勝負する人々
著者 :東 富彦
発行日 :2014年10月22日 初版第1刷発行
発行所 :日経BPマーケティング
おすすめ度:★★★☆☆
著者
東 富彦(あずまとみひこ)
国際社会経済研究所主幹研究員 一般社団法人オープン·コーポレイツ·ジャパン 常務理事
NECグループのシンクタンクである国際社会経済研究所で「ビッグデータがもたらす次世代情報社会」の研究に2012年から取り組む。オープンデータの普及促進を図るオープン·ナレッジファウンデーション·ジャパンの設立に参画後、企業データの公開を促進するオープン·コーポレイツ·ジャパンを創設。日経ビッグデータの読者サイトで2014年2月から8月まで「オープン―データの開放が企業や社会を変える」を連載した。
本書の要点
- データをどうお金に変換するか?
データから価値を生み出せるか否かは、データ自体のオープン度とデータを加工して付加価値を与えるメカニズムが鍵を握る。ビジネスとして成功する可能性の高いデータの使い方とは、データと他のデータを混ぜ合わせることで、元々のデータからは想像できない新しいサービスを生み出すような使い方である。 - データのオープン化がイノベーションを加速する
「データは独占できない。」これが、世界最大級のデータブローカー企業CEOの言葉である。これからは、データを共有することで、イノベーションを促進することができるのである。 - 予測してはならないこともある
オープンデータとそれに基づくアルゴリズムの力は破壊的なほど強力である。何のために使うのか、どんな社会を目指して利用するのか、強く問われることを忘れてはならない。 - データドリブンソサエティ戦略を実行する
データをオープンにすることをきっかけとして社会を活性化させる事。オープン化する領域を段階的に拡大し、市民を消極的消費者から積極的行動者に変えて、社会を活性化させようという考え方である。
要約
データをお金に変える方法
本書では、多くのデータ活用の事例が紹介されていて非常に興味深い。例えば、農作物の収穫予測から保険を作る。ビッグデータを使って不動産価格を査定、消費者と業者の情報格差を是正する。食物のトラッキングによる食の安心・安全の見える化で収益を上げる。病院選びをビジネス化する。といった具合である。
では、どうすればデータをお金に変えることができるのであろうか?本書では、お金になる価値を生み出せるデータの指標として「ファイブスター・オープンデータビジネス」を紹介している。データを5段階に分けたもので、5段階目が最もお金になりやすいという考え方である。1段階目は、データそのもの、2段階目は複数のデータを集めたもの。3段階目は、可視化されたデータ。4段階目は、データとデータを重ね合わせたもの。そして、5段階目はデータとデータを混ぜ合わせたものとなる。
イノベーション
本書では、データのオープン化によるイノベーションの事例も多く紹介されている。例えば、がんの治療、アルツハイマー病患者のゲノム情報公開。ビッグデータを利用した新たな消費者金融システムの構築。アフリカの食料システムの改革。農業改革などが紹介されている。データのオープン化は、必要不可欠となりつつある。
データの扱い方
データの収集や、使い方はどこまで許されるのか?例えば、監視カメラのデータの利用はどこまで許されるのか?誰が犯罪を起こしそうか?など、データの使い方が問題となるケースも予想される。データを何のために使うのか強く問われることを忘れてはならない。
未来はデータが創る
今後ますます、データドリブンの社会となっていく。その中では、データをオープンにすることをきっかけとして社会を活性化させていくことだ大事になる。これを「データドリブンソサエティ戦略」という。データをオープン化する領域を段階的に拡大し、市民を消極的消費者から積極的行動者に変えて、社会を活性化させようという考え方である。我々もデータを積極的に活用する人材となっていきたい。
日本のオープンデータ関係のサイト
政府
- Data.go.jp
日本政府のオープンデータのカタログサイト
(http://www.data.go.jp/)- e-Stat
日本政府の統計総合窓口
(http://www.e-stat.go.jp/)- Open DATA METI
経済産業省が立ち上げたオープンデータの 実践サイト
(http://datameti.go.jp/)- 情報通信白書
総務省が情報通信白書を2次利用可能なオープンデータにした
(http://www.soumu.go.jp/johotsusintoke/whitepaper/)- 国土交通省ハザードマップポータルサイト
防災に役立つ情報をまとめた国土交通省のサイト
(http://disapotal.gal.go.jp/)
民間- Data for Japan
日本の各種のオープンデータのポータルサイト
(http://dataforjapan.org/)- リンクトオープンデータイニシアティブ
オープンデータを相互にリンクして再利用しやすいデータの公開と共有を目指す活動
(http://linkedopendata.jp/)- オープン・ナレッジ・ファウンデーションジャパン
オープンデータとオープンガバメントを推進する団体
(http://okfn.jp/)
本書での、様々なデータ活用の事例は、非常に有用なもので刺激となった。今後のますますのデータドリブンの社会において、データの使い方を理解する一助となると思います。ぜひ、本書を手に取ってデータについて考えてみてほしいとおもいます。
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