本書では、部下との仕事の進め方が短いセンテンスで表現されています。上司として部下と接している人は、本書を手に取り、自分のこれまでの行動と照らし合わせてみると良いと思います。教訓が非常にわかりやすく表現されているので、実行しやすいのも本書の特徴かと思います。部下との向き合い方を見直し、より良い関係を構築できるよう改善してみてください。
概要
ジャンル :人事
著書 :部下を「お客さま」だと思えば9割の仕事はうまくいく
著者 :林 文子
発行日 :2014年5月18日 第1刷発行
発行所 :株式会社KADOKAWA
おすすめ度:★★★☆☆
著者
林 文子(はやし ふみこ) 横浜市長
1946年、東京生まれ。都立青山高等学校卒業。東洋レーヨン(現東レ)、 松下電器産業(現パナソニッ ク)、ホンダのセールスレディーなどを経て、 87年、 BMWの正規ディーラーであるBMW東京に入社。 世田谷支店に配属され、91年12月に400台累計販売 を達成。93年、新宿支店長に就任。95年に年間販売522台を達成し、ベストセールス支店に選ばれる。98年中央支店長に就任。99年、ファーレン東京(現フォルクスワーゲンジャパン販売)代表取締役社長、2003年8月よりBMW東京の社長に就任。2005年、ダイエー代表取締役会長兼CEOとして、 徹底した現場主義により、経営の再建を行う。 その後、日産自動車執行役員、東京日産自動車販売代表取締役社長を経て 2009年8月より現職。全国で「保育所待機児童数ワースト1」だった横浜市において、2013年「待機児童ゼロ」を実現。
本書の要点
- コミュニケーション
たった一言で部下は9割変わる。会話の切り出し方から、悩み事の聴き方までコミュニケーションを取り方を明記されております。共通する考え方は、部下の考えを認め、人として尊重しあえる関係を作るという事だと思います。 - マネジメント
言う事を聞く部下より「考える部下」を育てなさい。「あれやれ」「これやれ」というマネジメントではなく、部下の裁量を認め、部下のやる気を引き出すマネジメントを実践しましょう。 - 上司の行動習慣
部下は、あなたに似てきます。自分の振る舞いは自分でチェックしましょう。明るい雰囲気でありながらもケジメのある、生き生きとした職場になるかどうかは、上司の立ち振る舞いにかかっています。常に部下から「見られている」と意識しましょう。 - 人間力
部下をどれだけ「許せるか」が上司力。部下は上司を簡単に受け入れないものです。長いスパンで育成を実践しましょう。上司は部下が成果を出す為に「お手伝い」をするという意識で向き合いましょう。
要約
コミュニケーション
- 会話の出だしは、ポジティブに「元気そうだね」
- 責めるのではなく、疑問を投げる「どうしてうまくいかなかったんだろう?」
- 成功体験を語るより、まず共感「私もそうだったよ」
- 相手の名前を呼んでから話す「○○さん、この間の件だけど」
- 上司の弱さは武器になる「いまプレッシャーを感じているんだ……」
- 困難なことは、一緒にやると宣言する「でも、一緒に努力したいよね」
- 歩み寄ってこない部下には、 自分から歩み寄る 「○○の新曲、 いいよね」
- 部下には命令せず、頼りにする「助けてもらえないかな?」
- 言い出しにくいことは、こちらから聞く
「ちょっとごめん、困ってることがあるんじゃない?」 - 部下の怒りは100%受け止める「その気持ち、すごくわかるよ」
- 部下の失敗を自分のミスと認める「嫌な思いをさせて、ごめんね」
- 役してはいけない 「心配していないょ」
- もうひと言。で感謝を3割増しにする「ありがとう。とてもうれしかった」
マネジメント
- エネルギーの半分を部下との関係作りに使う
- まず、「自分がどんな人間か」を開示する
- ほめて、ほめて、ほめて、ほめつづける
- 注意するときは「ほめる→叱る→ほめる」
- スピード仕事術より、雑談とムダ話
- 自分の部下時代を思い出し、「上から目線」をやめる
- プロセスを共有し、部下の「ひと工夫」を引き出す
- 話を整理しながら部下の「論理力」を育てる
- わからないことは、部下に教えてもらう
- 目標を大きくして「火事場の馬鹿力」を引き出す
- 「何を」するかは上司が、「どう」やるかは部下が決める
- 部下との絆作りに、飲み会を利用しない
- 「ホウレンソウは、上司から
- できる部下にこそ声かけを忘れない
- 「くれない族」を卒業しなさい
上司の行動習慣
- 笑顔を使うとき、笑ってはいけないとき
- 常に部下から「見られている」と意識する
- 実践してほしいことは、自分が先にやってみせる
- 相手によって態度を変えない
- 用事があるときは、自分から出向く
- 部下の話を絶対にさえぎらない
人間力
- 部下に受け入れてもらえないのは「当たり前」
- 「苦手な部下」は存在しない
- 部下は「10年スパン」で育成する
- 挫折が多い人ほど、いい上司になる
- 「できない部下」への対応が、上司を成長させる
- 部下への「利他の心」が成果を生み出す
- もう「悲壮感」を与えるのはやめなさい
本書は、非常にわかりやすく、上司としての自分の行動を見直すことのできる指南書です。ぜひ手に取って、バイブルとして、実践してみてください。部下が成果を出し、組織としての成果が最大化できるよう読み返していきたいと思います。
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