VR元年と言われた2016年から、5年が経とうとしています。私自身、次に必ず「来る」と言われているVRをよく理解しておく必要があると感じていましたし、仕事としてのVRに興味があったので、手に取った本です。また最近、「電脳コイル」というVR/ARをテーマに、近未来を舞台にしたアニメを見たことも、本書を手に取った要因かもしれません。VRをどう活かしていくか、考えるきっかけとしておすすめします。
概要
ジャンル :仕事
著書 :VRが変えるこれからの仕事図鑑
著者 :赤津 慧著 鳴海 拓志監修
発行日 :2019年8月30日 初版第1刷発行
発行所 :株式会社 光文社
おすすめ度:★★★☆☆
著者略歴
赤津慧(あかつけい)
株式会社ハロー取締役、ディグ株式会社取締役。1990年、茨城県生まれ。東京理科大学経営学部卒。ニューメディアプロデューサーとして、XR技術を使った施策やアニメ、広告、バラエティ番組、メディアアート、VTuber、インタラクティブな空間演出など、手がける企画は多岐にわたる。最近のプロデュース作品は、テレビ東京VTuberドラマ「四月一日さん家の」歌舞伎メディアアート「カブキノヒカリ展」デヴィ夫人YouTubeチャンネル「デヴィ夫人 Lady.Dewi Channel」など。
監修者略歴
鳴海拓志(なるみ たくじ)
東京大学大学院情報理工学系研究科准教授。1983年、福岡県生まれ。東京大学工学部卒。東京大学大学院エ学系研究科博士課程修了。博士(エ学)。専門分野はVRや五感インタフェース。VR/ARの技術と認知科学心理学の知見を融合する研究に取り組み、限られた感覚刺激提示で多様な五感を感じさせるクロスモーダルインタフェース、身体の変容を通じて人間の行動や認知、能力を変化させるゴーストエンジニアリングを提唱、実現させている。日本バーチャルリアリティ学会論文賞、文化庁メディア芸術祭優秀賞、グッドデザイン賞など、受賞多数。
本書の要点
- VRに賭けないのはもったいない!
VRの最前線では、どんなことが起こっているのでしょうか?
いまやVチューバーは7000人を越え、VチューバーによるVRライブチケットは、即売り切れになることも珍しくありません。またエンターテインメント分野以外でも、多くの分野で活用が始まっています。アメリカ軍では実践形式のトレーニングに活用され、グーグルアースVRで旅行に出かけ、自動車業界では、VRショールームを設置、VR試乗。不動産業界では、VRで内見。教育業界では、VRでの授業。その他、アパレル、ブライダル、医療、スポーツなど様々な分野で疑似体験、トレーニングといった使い方が進んでいます。VRの拡大はもう目の前まできています。 - VRで新しく生まれる仕事
2Dを3D化する3Dモデラ―。モーションキャプチャーでアニメーションを作るVRアニメーター。仮想空間のデザインを行うVR空間デザイナー。VRのシステムを作るVRエンジニア。そして、クライアント企業のコンテンツ制作のイメージを具現化するVRディレクターなどがあります。 - VRで変わる働き方
VRで変わる世界の本質。それは今より能力主義へシフトしていくことです。VRが普及すると、アバターを使用することで、大人でも子供でも、性別も国籍も関係なく、一芸に秀でていれば、それをよりどころに世界を切り開いていける。その流れはドラスティックに加速していく事になります。本書を読むことで、そんな世界を生き抜いていく為の心構えができるのではないかと思います。
要約
VRの最前線
VRが様々なシーンで利用されるようになってきました。バーチャルアイドルが仮想空間で行うライブチケットが10分で完売になる時代になっています。
また、アメリカ軍もVRを導入しています。実践形式のトレーニングは、実際の戦場を模したフィールドで行われていると言いますが、リアルな戦闘場面の再現には、多額のコストが掛かります。また、何度も繰り返しトレーニングするのもコスト面で限界があります。そういったトレーニングの用途にVRは非常に相性が良く、軍事の他にも医療、スポーツ、警察官、消防士といった分野に広がりを見せています。
仮想現実の体感といった使用方法では、VRで世界旅行を体感するといった使用方法があります。他にも自動車業界では、VRを使った車の試乗。不動産物件の内見、などの使用方法が広がっています。実際にそこに行かなくても体感できる、物理的な距離がなくなる時代がすぐそこまできています。
VRを仕事にする
VRの業界はまだ完全な売り手市場です。働き方改革や副業解禁の流れが強くなる昨今、増えた可処分時間でVRに関する仕事をしてもよいのではないでしょうか?
VRディレクターとは、クライアントとエンジニアの間に入り、クライアントの要望を具体化すること。実現可能なプランに落とし込む仕事です。クライアント要求は抽象的なことも多く、そのままエンジニアとやりとりすると、出来上がった成果物が求める物とかけ離れたりすることがあります。そういった事が無いように、クライアントが実現したいものと、エンジニアが技術的にできることの間で落としどころを付ける役割を担います。このVRディレクターの数は全く足りていません。VRビジネスに関わりたいという人はぜひ注目してみてください。
その他、VRエンジニア、3Dモデラ―、VRアニメーター、VR空間デザイナーなど、様々な職業がありますので、興味のある人は、是非本書を手に取ってみてください。
そして、VR業界でなくても、あなたが今属している業界でもVRが活用されたり、新たなビジネスになる可能性は非常に高いといえます。VRに置き換わりそうなもの、あると便利そうなものは何か?VRによる変化を「自分事」として考えてみるとアイデアが浮かんでくると思います。
VRによって変わる働き方
さらなる能力主義へシフトしていくでしょう。アバターを使い分けることで、まったく違う自分として生き、かつ能力を発揮するという場面は、VRが進化していくと今以上に増えていきます。つまり、今後VRが普及すると、大人でも子どもでも、性別も国籍も関係なく、一芸に秀でていれば、それをよりどころに世界を切り開いていけようになります。自分は歌に自信がある、 という人は、Vチューバーの普及によって、VR空間で歌唱を披露する流れはどんどん広がっていくと考えられます。Vチューバーであれば手軽に自分のアバターが使えるので、顔出ししなくても才能を発揮することができるのです。
さあVRを始めよう
本書では、VRを始めるのに必要な具体的な機器の紹介などもされています。特に大事なのは、最新の製品に触れること。そうでないとVRを体感したことにならないと紹介されています。ご興味ある方は、ぜひ本書を手に取りVRの世界に足を踏み入れてみてください。
コメント